「とと姉ちゃん」が戦時中を描いている。
戦時中の家族はひたすら戦争の犠牲者として描かれる。
とと姉ちゃんの会社の同僚がすべて徴兵されて、
戦地で死闘を繰り広げているかもしれないのに、
主人公は「戦意高揚の雑誌は作りたくない」などと言い出す。
この家族は日本が負けてしまっても、戦争さえ終われば
いいのだろうか?
日本の国に勝ってほしいとは思わないのだろうか?
「公的」な感覚がすっぽり抜けて、「私的」な感覚のみに
なっているのが不思議だ。
一方、戦意高揚派の区長や国防婦人たちは、悪意を持って
描かれる。
確かにいちいち風紀まで注意する愛国者はウザいとは思う。
戦時中だからユーモアも自粛しろと言われたら、わしは反発
するかもしれない。
自粛の強制は今も地震のときなどに流行るが、大嫌いだ。
卑小な自我を国家大に肥大させて、他人を売国奴か反日に
認定すれば、自分が上位に立てると勘違いするような
馬鹿も大勢いたのだろう。
自粛や不謹慎を強制するのはそういう現在のネトウヨ的な
体質の連中だ。
だが、一旦、国が戦争を始めたら、あとはもう勝利を願う
しかないのも事実だ。
まさか「我が国負けろ」「外国に占領されろ」「この国は消滅
しちまえ」と思う者などいないだろう。
とと姉ちゃんたちは、国が行っている戦争について、どう
考えているのだろうか?
こういうドラマを見て、シールズ嬢ちゃんは「家に帰れば
お母さんが毎日、ご飯を作ってくれる幸せ」のために、
安保法制反対で―――ちゅと叫ぶんだろう。
奴隷の平和に安住した幼児脳が増えるだけの戦時中の描き方
しかできないものなんだろうか?
戦時中の庶民の描き方は、なんでいつもワンパターンなのだ
ろうか?
わしが描いたらこんなに単純じゃなくなるのだが。